墓じまいとは


「墓じまい」とは、墓地や霊園に石を材料としてを建てられた"お墓"を撤去してしまう活動のことを指します。
少子高齢化の影響で若者がお墓のメンテナンスを行う負担がかかってしまったり、生き方の多様化により特定のお墓に入らないという選択をしたりする人が多くなったことにより、墓じまいが一般的になりました。
住居の近くにお墓を移す「引っ越し」という形での墓じまいもありますが、場合によっては特定の墓を持たずに「散骨」という形で許可された場所で骨を自然に返すという方法や、アクセサリーやペンダントとして持ち歩く方法を選ぶ人もいます。
大多数の墓じまいは親からの提案
少子高齢化・核家族化・ライフスタイルの多様化が進む現代で、特定の場所で生活し続けることは難しくなってきています。
また、若者が多く暮らす都心では必ずしも車が必要でない環境にもかかわらず、霊園や墓地は郊外にあることが多いです。
お墓は高価な買い物な上に、定期的なメンテナンスが必要となります。
現役世代の若者は何かと苦労を強いられる世代だからこそ、将来の子供達の負担を考えた親から「墓じまいをしよう」という提案をされることが増えているそうです。
墓じまいにかかる費用

墓じまいをするにあたって、お墓を撤去したり、引っ越しを行うために所定の書類を作成したり、今までお世話になったお寺への感謝の気持ちを示す"お布施"などに用いる費用が発生するため、まとまったお金が必要になります。
合計金額は個人やお寺の取り決めによって異なるため、最終的な金額はご自身で算出する必要がありますが、基本となる解体費用は平均的なお墓の面積である約1.80㎡あたり12〜18万円ほどとされていることから、純粋な墓じまいにかかる費用は約50〜100万円と算出できます。
引っ越しを伴う墓じまいの費用

仮に家族の居住に合わせて新しくお墓を立て直す"引っ越し"を行った場合は、250〜300万円程度と+100万円程度の差額を見積もっておくと良いでしょう。
下記は費用の内訳例です。
・お墓の撤去費用
・お世話になったお寺へのお布施
・お寺の管理費用(離檀料)
・新しいお墓の費用
2つの手続きをベースに墓じまいを行う
墓じまいをする際には主に2つの手続きが必要です。
1つ目は「墓じまいした後の遺骨の扱いを決定する」、もう1つは「出骨にあたり各機関へ書類作成の依頼をする」ということです。
まず1つ目は足を使って行う手続きです。
遺骨を別のお墓に引っ越しさせる場合は引越し先の墓地にどのように遺骨を納めるのか、実際に足を運んで打ち合わせを重ねる必要があります。
また、新しい墓石を用意する必要があれば引越し先の近くにある墓石屋を探すことも視野に入れましょう。
2つ目に、用意しなければいけない書類は
①改葬許可申請書
②改葬許可承諾書
③改葬許可証
という3つの公的書類があります。
それぞれ墓地がある地域の所轄の市町村役場と墓地管理者から受け取る必要があるため、忘れずに申請しておきましょう。
4ステップで理解できる墓じまいの手続き | |
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STEP1:墓じまいの専門業者との打ち合わせ等手続き | |
STEP2:引越し先の墓地の確保(遺骨の行方を決定する) | |
STEP3:各機関から証明書類の発行 | |
STEP4:遺骨の移動(もしくは散骨) |
自らの手で終活を行う時代を生きる

自らの手で墓の役目を終わらせる「墓じまい」は人生の終着点を決めるという意味では"終活"の一貫として、重大な選択であると考えられています。
少子高齢化の加速に歯止めがかからない現状、これからは一層考えていかなければならない選択肢となるでしょう。
また、墓じまいは主に親からの提案であることが多いとされています。
これは厳しい世界で生活していく子供を思った結果の選択です。
もし我々の生活に多様性が認められる時代ならば、その生活の終わり方も自らで決定していくことが許されても良いのではないでしょうか。