喪主のマナーを知っておこう


悲しみにくれる中、喪主を務める方は準備・参列者への対応・葬儀全体の管理と幅広い役割があります。ここでは喪主が気を付けておきたい基本的なマナーと香典返し・お礼状の基礎知識を紹介します。
初めて喪主を務める方にもわかりやすくまとめていますので参考にしてください。
葬儀中のマナー

喪主の挨拶は基本的に葬儀の様々な場面で行いますが、それ以外にも参列してくれた方や葬儀社のスタッフへの対応もありなかなか大変です。無理にかしこまろうとせず、自分の出来る範囲で思いを伝え、最低限失礼のない言葉選びをしましょう。
喪主の服装

喪主の正装は男性の場合、モーニングコートまたは和服とされていますが、略礼装と呼ばれるフォーマルスーツでも構いません。
女性も和服が正装ですが、同じように略礼服で問題ないので無理のない恰好をしましょう。
アクセサリーの類に関しては、結婚指輪とパールのネックレス以外は避けるのが一般的です。
参列者への挨拶
参列者からお悔やみの言葉を受けたときは、素直に感謝を伝えましょう。葬儀は話しこむ時間もありませんので、手短に一言伝えるくらいで問題ありません。
例)
・ご多用の中、足を運んでいただきありがとうございます。
・生前は大変お世話になりました。父(故人)も喜んでいることと思います。
・お心遣いありがとうございます。
この際、気を付けていただきたいのが忌み言葉と呼ばれるものです。
忌み言葉とはその場にふさわしくない縁起の悪い言葉を指します。葬儀の場では不幸が続くことを連想される重ね言葉(重ね重ね・いよいよ・わざわざ)や不吉な言葉(死亡・自殺・迷う・消える)などは避けましょう。
しかし、あまり忌み言葉を気にしてしまうと、どのように話せばいいのかわからなくなってしまうと思いますので、死を直接連想させる言葉を避け無難な言い回しに変える程度で良いでしょう。
喪主の妻は何をする?
喪主の妻になった場合は夫を陰で支える役割になります。具体的には世話役への仕事の割り振りや葬儀社のスタッフとの連携・葬儀の席順など遺族と話し合いながら進行していきます。また、忙しく動き回ることも多いので黒エプロンがあると便利です。
お礼状の書き方
葬儀が終わり一区切りついたところで、葬儀に参列した方やお世話になった人・香典返しを送る人などにお礼状を送ります。書き方にはマナーや注意点がありますので一度確認しておきましょう。
お礼状の例文

お礼状を書くとき、昔からの風習で句読点(、。)は付けません。感謝を伝えたい内容によって多少異なりますが、基本は一緒ですので例文を参考にして実際に送ってみましょう。
また、お礼状ははがきで送るのが一般的ですが会社の同僚や親しい友人にはメールで手短に済ませてしまっても構いません。
参列の礼状
謹啓
故○○○○(故人の名前)の葬儀に際しましては
ご多忙中にも関わらずご会葬をいただき
ご芳情のほど誠にありがたく 厚くお礼申し上げます(参列のお礼)
早速拝眉の上挨拶申し上げるべきところではありますが
略儀ながら書中をもってお礼申し上げます
謹白
令和○○年〇月〇日
〒○○○-○○○
東京都 ○○区 ○○-○○
喪主 ○○○○
親族一同
弔電への礼状
謹啓
故○○○○(故人の名前)の葬儀に際しましては
ご多忙にも関わらずご丁重なご弔電を賜りまして
ご芳情のほど誠にありがたく 厚くお礼申し上げます(弔電のお礼)
早速拝眉の上挨拶申し上げるべきところではありますが
略儀ながら書中をもってお礼申し上げます
謹白
令和○○年〇月〇日
〒○○○-○○○
東京都 ○○区 ○○-○○
喪主 ○○○○
親族一同
香典返し・供花・お供物のお礼状
謹啓
故○○○○(故人の名前)の葬儀に際しましては
ご多忙中にも関わらずご会葬をいただき且つご鄭重なるご厚志を賜り厚くお礼申し上げます(参列のお礼)
つきましては供養のしるしに心ばかりの品をお送りいたしますのでご受納下さいませ(香典返しについて)
ここに生前のご厚情に感謝申し上げますとともに
今後も変わらぬご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
早速拝眉の上挨拶申し上げるべきところではありますが
略儀ながら書中をもってお礼申し上げます
謹白
令和○○年〇月〇日
〒○○○-○○○
東京都 ○○区 ○○-○○
喪主 ○○○○
親族一同
お礼状は奉書封筒という和紙を使った封筒に入れましょう。不幸が重なるとして二重封筒は使用しないのがマナーです。
お礼状の数が多くなりそうなら、印刷で済まして特にお世話になった人へは手書きで送るなど配慮をしましょう。
香典返しのマナー

香典を受け取った場合、お礼として香典返しを四十九日の法要後に送る事が一般的です。香典返しの値段相場やどんなものを送ればいいのか、のしの書き方まで詳しく解説します。
香典返しの費用相場

香典返しはいただいた香典金額の半分に相当する金額を基準に考えます。高価な香典をもらった際は純粋に相手のご厚意ですので、半分相当でなくても構いません。また、葬儀当日に香典返しを渡す場合は2,000~3,000円くらいの品を選ぶ場合が多いようです。
勤め先から連名で香典を受け取った場合は後日菓子折りを持っていくのも方法としてあります。
何を送るのがベスト?

香典返しではどの家庭でも使いやすい消耗品が良く利用されます。例えば、お茶やコーヒー・海苔・タオルなどです。最近では好みを選ばないカタログギフトが利用されることもあります。
避けたおきたい品目としては、四つ足生臭ものと呼ばれる肉や魚の類、値段がわかってしまう商品券などです。
のしの書き方

香典返しではのしのない掛け紙を使用します。最近では弔事用ののし紙と言われることもありますがどちらも同じものです。
香典返しの表書きで宗教に関係なく使えるのは「志」です。西日本地域は満中陰志と書くこともありますので親族に確認しましょう。
送り主の名前は喪主のフルネームまたは喪家の姓・喪家の姓+家のいずれかになります。一般的には喪家の姓を書きます。
例)
喪主のフルネーム | 鈴木太郎 |
---|---|
喪家の姓 | 鈴木 |
喪家の姓+家 | 鈴木家 |

香典返しを断られたら
香典返しを辞退するという人も中にはいます。理由は主に「遺族の負担を減らすため・職場の規約で受け取れない」のどちらかになります。この場合、無理に香典返しを渡しても相手の迷惑となってしまいますので、お中元やお歳暮など別の機会に贈り物をしましょう。
周りと助け合いながら行う
葬儀前から法要に至るまで喪主は知っておきたいことが沢山あります。もし、決断に迷ってしまうのなら、親族に相談を持ち掛け、頼れる人を見つけて指示を仰いでみてはいかがでしょうか。一人で背負い込まないで、周囲と連携を取ることが大切です。