相続税に纏わる手続きの重要性

相続税申告書 相続税申告書

「相続」とは、故人が死亡時に所有していた全ての財産にまつわる権利・義務を、配偶者や子、親などの特定の親族が引き継ぐことです。
相続は、死因贈与などと異なり生前に財産を与える契約を交わしてはおりませんので、死後に多くの手続きを短期間で行う必要があります。

まず故人の死亡を知った日から3ヶ月以内に相続の承認の仕方を決定する必要があり、さらに相続の開始を知った日の翌日から「10ヶ月以内」には相続税を確定させ管轄の税務署まで相続税の申告書を提出しなければいけません。

葬儀や遺産の按分などを行っているうちに10ヶ月はあっという間に経過してしまいます。しかし、残念ながら申告期限までに納税が間に合わなかった場合は、最大で相続税額の20%に上る無申告加算税を支払わなければいけません。
大切な人が親族に残した最後の贈り物を守るためにも、正確で遅滞のない手続きを行いましょう。

相続税の申告手順

相続税申告書の記入

相続税の申告は、故人が死亡したことを知らせる"死亡届"の提出から始まります。
相続税の申告期限である10ヶ月以内を目安に、相続を受け取る人数の確定、故人の遺品整理、相続放棄の有無を決める手続き等、確認事項が山程用意されています。

最初のステップである死亡届の提出は、死亡を確認した日から7日以内に市町村役場に提出しなければいけません。
それから財産をどのように相続するか選択し、10ヶ月を目安に納税を完了させます。

大きく3ステップに分けられる最低限の手順はあらかじめ覚えておきましょう。

3ステップでわかる相続税の申告手順
〜7日以内 STEP1:死亡届の提出
〜3ヶ月以内 STEP2:相続の受諾を選択
〜10ヶ月以内 STEP3:相続税額を確定、申告

相続税の計算方法

印鑑と電卓

相続は、その開始を知った日の翌日から10ヶ月のうちに相続税額を自分で計算して確実に納付しなければいけません。
しかしながら、相続税に関わる手続きは知識のない素人が行うには非常に根気がいる作業となるため、相続税が発生する親族の90%程度は"税理士"に依頼して手続きを代行してもらう選択をしています。

そのため、自身で複雑な業務を行う必要はあまりないとされていますが、あらかじめ自身で計算方法を理解しておくことで税理士とのやり取りがスムーズに行われることも事実とされています。

相続財産の額が確定した後の計算方法を4ステップで確認しておきましょう。

4ステップでわかる相続税の申告手順
STEP1:課税遺産総額を算出
STEP2:法定相続分で均等配分
STEP3:相続税率を乗算
STEP4:確定した相続税額を按分

相続税の基礎控除とは?

税務署の外観

相続税には法定相続人の数に応じて「基礎控除額」が設定されています。
その計算式は、

3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)

となっており、1人以上相続を受ける人が確定している際は"3,600万円"までの相続財産を受け取る場合ならば、基本的に相続税の申告は不要とされています。

法定相続人の数え方は?

注意するべき人数の数え方

「法定相続人」とは、法律で定められている相続を受けることの出来る人のことです。
法定相続人は、相続税の控除額や死亡保険金の非課税金額を算出する際に必要となる人数で、相続を受け取る気のない"放棄者"でも人数に含められるため、算出する際は注意が必要になります。

相続税の税率

相続税の税率は財産の総額によって、以下速算表の通り変動します。

課税価格 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

「課税価格」は控除額や特例等を用いた上で算出された金額のことで、仮に財産の合計額が1億円・相続人が3人(配偶者と子2人)であったと仮定した場合、相続税の額は以下の通りとなります。

法定相続分…配偶者5,000万円(1/2)・子各2,500万円(1/4)

速算表に当てはめると

配偶者…(相続分)5,000万円×(税率)20%-(控除)200万円=800万円
子…(相続分)2,500万円×(税率)15%-(控除)50万円=325万円

したがって、相続税額は配偶者が800万円、子が各325万円の合計1,450万円となる計算です。

相続税への正しい理解が大切に

税理士に相談しているイメージ

親族が亡くなった際には、残された遺族には膨大な手続きと絶大な悲しみが残されてしまいます。
苦しくても立ち止まってしまえば「加算税」や「延滞税」という形で容赦なく突きつけられる現実に更に余裕は奪われてしまうでしょう。

そのため、簡単な流れだけでも良いので今のうちから情報を集め、有事の際に頼れる専門家とのツテをつくっておきましょう。
その際に今回ご紹介した相続税の計算方法と申告手順の知識が役に立つのではないでしょうか。