葬儀・告別式の基礎知識


葬儀は故人の成仏を祈るためご遺族や近親者を中心として行う宗教的な儀式で、告別式は故人と親しかった人が最後の別れを告げるものです。しかし最近ではこの2つを区別せずに執り行うことが多くあり、午前中に始まって3時間から4時間ほどで閉会します。
葬儀・告別式の流れ
参列者は定刻より20~30分ほど早めに到着するようにしている人もいますので、葬儀の1時間前には会場にいるように心がけましょう。この際、弔辞・弔電の名前や順番を確認しておいてください。
一般的に葬儀は以下のような流れになり、通夜の翌日行われます。家族葬や一日葬を執り行う際も時間や人数など、程度の差はあっても基本的に同じです。
- 喪主・遺族集合
- 葬儀の1時間前には集合し、段取りの確認・受付の準備・会葬御礼品の用意を行います。
早めに着いた参列者への対応をしたり、やる事がなければ休憩室で休んだりする場合もあります。
- 受付開始
- 葬儀が始まる30分前には受付を開始します。
芳名帳・筆記用具・香典受け・会葬御礼品を用意しておきます。
- 参列者入場
- 遺族・親族・参列者が着席します。
席順は祭壇に向かって前列が上座ですので遺族は前の方から座ります。
右側から喪主を筆頭に血縁の濃い順番で着席してください。
- 僧侶入場
- 僧侶が入場します。また、導師入場とも言われます。一同は一礼または合掌をします。
- 開式の辞
- 葬儀社の司会者(振興係)が開式の言葉を述べます。
- 僧侶による読経
- 僧侶がお経を読み始めます。
- 弔辞
- 故人との関係が深かった3~5名で行われます。一人当たり大体3分程度となる場合が多いようです。
- 弔電紹介
- いただいた弔電を読み上げます。弔電は関係の深い順に数通読み上げ、その他の弔電は肩書と名前を紹介するのが一般的です。
家族葬の場合、弔電を辞退することもあります。
- 焼香
- 僧侶の焼香の後、喪主→遺族→参列者への順番で行います。
焼香のやり方は宗派によって異なりますので一度確認しておきましょう。
- 僧侶退場
- 焼香が終わると僧侶が退場します。一同は一礼または合掌します。
- 出棺
- 棺に故人と血縁の濃い順番で生花を入れていきます。
故人の愛用品や思い出の品などを一緒に入れる場合もありますが不燃物は入れることが出来ません。
一通り、別れの挨拶が済んだら蓋を閉じ、近親者数人で霊柩車に乗せます。最後に、喪主が故人との関係・参列者へのお礼や感謝を伝え出棺します。
- 火葬
- 火葬場に着いたら「納めの式」という法要をします。
納めの式では僧侶の読経と焼香をして最後のお別れを行います。火葬は1~2時間かかりますので、控室で待機します。
- 骨上げ
- 火葬を行ったあと、箸で遺骨を広い、骨壺に納めます。
骨上げは故人と関係が深い遺族から二人一組で拾い上げるのが一般的です。喉仏の拾い上げは喪主ともう一人の親族が行います。
- 精進落とし
- 火葬場から戻り、僧侶や参列者に食事を振舞います。会食のはじめと終わりには喪主が挨拶を簡潔に行います。
精進落としは肉や魚を避けた料理を食べていましたが、最近はあまり意識されない傾向にあるようです。
喪主の挨拶

葬儀・告別式で喪主が挨拶を行うタイミングは出棺時と精進落としの場面です。
家族葬や直葬を行う場合は喪主挨拶を省いたり、簡略化したりすることもあります。
一般的な例文を紹介しますが、形式にとらわれずに故人と親族・参列者へ感謝の気持ちを伝えることを大切にしましょう。
出棺時
長男の〇〇(故人との関係)と申します。遺族を代表いたしまして、皆様に一言ご挨拶申し上げます。
本日はご多用にもかかわらず、ご会葬、ご焼香を賜りまして誠にありがとうございました。
故人も皆様のご厚情に感謝していることと存じます。(弔問の感謝)
父は仕事一筋の人でしたが、定年後、母や私を連れよく旅行に連れて行ってくれた優しい人でした。
大きな病気もせず、98歳で穏やかに眠る事ができ、大往生と言える最後でした。(故人との思い出)
今後とも、生前と変わりなき皆様のお力添えをお願い申し上げます。(今後のこと)
本日は誠にありがとうございました。
出棺時は特に悲しみも深くなり涙がこみあげてしまうこともあります。短い言葉でもかまいませんので、丁寧に感謝の気持ちを伝えましょう。不安な場合はメモを見ながら話しても問題ありません。
精進落としの始まり
一言ご挨拶申し上げます。皆様本日は誠にありがとうございました。
おかげをもちまして葬儀・告別式も滞りなく終えることが出来ました。
ささやかではございますが、皆様への感謝と慰労を兼ねまして席をご用意いたしました。故人の思い出話などをしながら、ゆっくりとお過ごしいただきたいと存じます。
本日はありがとうございました
精進落としの終わり
皆様、本日はお忙しい中ありがとうございました。お名残り惜しくはございますが、これにてお開きとさせていただきたく存じます。今後ともどうか変わらぬご支援のほど宜しくお願い致します。
本日は最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。
精進落としの際は軽い挨拶にするのが一般的です。参列してくれた方への感謝を込めて簡潔に伝えましょう。精進落としは始まりの挨拶を終えた後、献杯を唱えます。「それではご唱和をお願いします。献杯」など手短で構いません。
避けるべき言葉

葬儀の挨拶では不幸が重なるとされる重ね言葉は禁句となっています。また、不幸が続くことを連想させる忌み言葉も使ってはいけませんので言い換えて伝えましょう。
重ね言葉の例
再び・再度・くれぐれ・またまた・しばしば・ますます・重ね重ね・いよいよ・たびたび
忌み言葉の例
死亡・生存中・忙しい・亡くなる・冷める・倒れる・逝く・悪い・おしまい
事前に不安要素を解消しよう
このページでは一般的な葬儀・告別式の流れを紹介しましたが、絶対こうでなくてはいけないというわけではありません。葬儀はあくまでも故人と最後の別れの場であり、生前の感謝を参列者に伝える時間として設けられたものです。
慣例にとらわれるのではなく、より良いお別れをするために、不安要素や不明点を解消する手立てとして参考にしていただければと思います。