遺体の安置について


遺体の取り扱いを間違えると、「死体遺棄罪」「死体損壊罪」といった刑罰を問われる可能性があります。基本的には葬儀社が移動や安置等を手配してくれますが、予め最低限の知識は身に付けておきましょう。
安置できる施設
大きい病院にて死亡が確認された場合には「霊安室」に安置されますが、当該施設が無い場合にはすぐに自宅又は専門施設に搬送しなければなりません。
故人が生前過ごしていた自宅にて安置されるのが一般的ですが、家がアパートやマンション・老人ホーム等であった場合には、民間施設や斎場の霊安室等にお葬式までの間安置されます。
東京では遺体ホテルが増加

東京では1日に300~400人程の方が亡くなっていると考えられておりますが、斎場や火葬場は20足らずほどであり、遺体の安置場所が不足しているのが現状です。
そのため、火葬までにおおよそ1週間から10日程掛かってしまい、ご自宅がマンション等で遺体を安置出来ない場合に遺族が困ってしまうという事態が後を絶ちませんでした。
そのため、都心部を中心に「遺体ホテル」と呼ばれる民間の安置施設の需要が大きく高まっています。
遺体の移動について

“遺体を自家用車で運ぶと違法”とよく言われますが、本当なのでしょうか。
結論から申し上げますと、自家用車で遺体を運んでも法律違反ではありません。
遺体を自宅や安置施設に運ぶ際に特別な許可は要りませんし、その際に用いる車に法律上の規制も無いためです。
ただし、遺体は生前とは違い硬直(死後硬直)しているため、余程大きな車でないと運ぶことが出来ません。
特段の事情が無い限りは専門業者に配送をお願いするのがベターです。
安置・搬送の費用

搬送に要する費用は時間や距離によって大きく異なりますが、距離換算ですと10km辺り1万5千円~2万円+ドライアイス代1万円前後が相場となっています。
なお、搬送が深夜や早朝であった場合には別途20~30%割増しされるのが一般的です。
また、遺体の安置につきましては1日辺り1万円前後+ドライアイス代として1万5千円~3万円ほどという料金設定が多く見られます。
遺体を扱う際の注意点
ご遺体をぞんざいに扱う行為は、死者への侮辱に当たるだけではなく、法律上や衛生面で大きな問題となる場合もあります。搬送や安置の際の注意点について解説します。
法律上の注意点

前述した通り、遺体の扱いを間違えると「死体遺棄」に当たる可能性があります。
例えば、遺体を安置しない又は保全しない(保冷材等を用いない)で放置してしまうのはNGです。
また、移動させる行為自体は犯罪ではありませんが、万が一搬送中から警察に職務質問を受けるとあらぬ疑いを掛けられてしまう場合があります
自家用車で移動する際には、死亡診断書又は死体検案書を必ず携帯するようにしてください。
搬送業者の許可
悲しいことではありますが、遺体は法律上「物」として扱われるため、移動するには“運等業許可(霊柩運送事業)”が必要になります。
葬儀社は当該許可をほぼ取得しているため問題ありませんが、「何でも屋さん」「個人の運送業者」等は許可を持っていない場合がありますのでご注意ください。
遺体の損傷に注意
人間の60%以上は「体液」と呼ばれる水分で出来ています。
死亡によって皮膚の膜が破れ、体外へ漏れ出してしまう恐れがありますので、必ず専用のシートを利用するようにしてください。
また、扱いになれていない場合、棺を落としてしまう又はぶつけてしまう等によって遺体を傷付けてしまうケースもありますので、運ぶ際には細心の注意を払いましょう。
小人数で無理して運ぶのは絶対にNGです。