エンバーミングとは


エンバーミングとはご遺体を元気な頃の姿に近づける専門的な技術のことです。
以前は土葬が主流であるアメリカをはじめとした欧米が主流でしたが、近年日本でも遺体を長く保存でき、安全性も高いといった利点から徐々に広まりつつあります。
エンバーミングはエンバーマーと呼ばれる技術者のみが行える行為です。エンバーマーになるには指定の養成学校で医学や生理学に精通した知識を身に付け、技術を磨いて資格を得る必要があります。
人が亡くなったとき、日本でも死化粧やエンゼルケアといった施しをしますが、エンバーミングはまた違った一面を持っているのです。メリット・デメリットからその特徴を探り、詳しく紹介します。
メリット

エンバーミングのメリットは大きく「衛生の保全・生前の姿の復元・長期的な保存」の3点があります。
また、エンバーミングの適切な実施と普及に努めている一般社団法人日本遺体衛生保全協会ではエンバーミングの利点について以下URLに記載があります。一度目を通しておきましょう。
衛生を保つ

ご遺体が感染症や伝染病を患っていた場合、体液から感染する恐れがあり、直接触れる行為は大変危険です。
エンバーミングでは殺菌し、体液を抜き取って細菌の増殖を抑えることが出来るため湯潅や清拭といった遺体を綺麗にする行いよりも安全性が高いと言われています。
ですので、小さな子供やお年寄りなどの免疫が低い方でも安心して故人の体に触って最後のお別れが可能です。
元気な状態へ近づける

闘病や事故などによって、体に傷がある・闘病でやせ細ってしまったなど生前の元気であったころの姿へと近づけることが可能です。
ご遺体はハリや色合いが蘇り、まるでただ眠っているような表情へと変え、遺族の悲しみを和らげてくれるでしょう。
一般の遺体保存で用いられるドライアイスを使う必要がないので、凍結や触れたときの冷たい印象を抱かせてしまうこともありません。
ご遺体の腐敗を抑える

人間は死後すぐに体内から腐敗が進みます。通常はドライアイスで冷やしてご遺体を保存しますが長くて1週間程度の保存しか出来ません。また、夏場となると痛みも早くなります。 エンバーミングは薬剤で腐敗を防止するため、3週間ほど状態を保全できるので、遠くに住んでいてすぐに駆け付けることが難しい・ゆっくりと葬儀を行いたいなど場合もゆとりを持って最後の時を迎えられます。
デメリット
エンバーミングを検討するのではあればデメリットも知っておきたいもの。知名度や普及率の低さからまだまだ懸念点もあるようです。それぞれ具体的に見てみましょう。
施設が少ない

エンバーミングは決められた施設での処置が義務付けられています。しかし現在、日本では全国55か所と少なく、施設がない地域も存在します。また、エンバーミングは高度な衛生管理や遺体からの廃棄物に対応できるような環境でないと処置が出来ないため簡単に併設することはできないのです。
費用が高い

エンバーミング自体の費用はご遺体の状態により変動はあるのものの12~20万と、湯潅や死化粧に比べ格段に費用がかかります。一般社団法人日本遺体衛生保全協会が基本料金を定めているので、どこで執り行おうと料金に大きな変動はありませんが、別途に発生する移動費用についてよくよく考える必要があります。
上記でもあるように日本ではご遺体にエンバーミングの処置を行える施設が少ないので移動距離が長くなる場合もあり、その分高額な料金になってしまうことがあるのです。
元気な姿でお別れを

エンバーミングのメリットとデメリットから、その特徴がお分かりいただけたと思います。亡くなった方を綺麗な姿に施す方法は他にもありますので、一つのやり方としてエンバーミングがあるんだということを心にとめておいてください。
メリット | デメリット |
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・生前の元気な姿を復元できる ・ゆっくりお別れができる ・ご遺体に触る事ができる |
・施設が少ない ・費用が高い |
火葬を行う日本ではエンバーミングの技術が欧米ほど浸透しておらず、エンバーミングに関する法律の整備や専門施設の建設などまだまだ課題はあります。
しかし、ご遺体を長期に保存するだけでなく、大切な人を失った遺族の悲しみを緩和させる役割としてこれからより浸透していくのではないでしょうか。