急増!葬儀費用を巡るトラブル

高額な葬儀費用に頭を抱える男性 高額な葬儀費用に頭を抱える男性

料金や葬儀の内容について明確な説明がないまま契約が進んでしまい、後に高額な葬儀費用を請求されてしまうケースが2000年代に入り急増しています。
少子高齢化の影響により「葬儀」のマーケット市場は拡大を続けており、中には詐欺まがいの悪徳営業を行う葬儀社も存在しています。
トラブルの事例、悪徳業者の特徴や手口等について予め知っておきましょう。

2018年の相談件数

葬儀業者とのトラブルを相談する女性

国民生活センター(PIO-NET)には墓・葬儀に関する相談が以下の通り寄せられています。

※2018年12月31日時点

2015 2016 2017 2018
1,456件 1,398件 1,300件 916件
葬儀 764件 716件 637件 400件

国民生活センター「PIO-NETに寄せられた相談件数の推移」より

減少傾向にはありますが、上記はあくまで集計時点の概算値であり、墓で1,200件前後・葬儀で650件程度にまで伸びることが予想されています。
また、総務省が発表した「葬祭業の取引の適正化に関する調査の結果」によると、

・説明資料はなかったが主な費用について口頭での説明があった
…1,282人中189人(14.7%)
・主な費用についての説明はなく、総額についてだけ口頭説明があった
…1,282人中38人(3%)
・説明は無かった
…1,282人中34人(2.7%)
と、およそ20%の方が“不十分な説明”であったことが分かっています。

相談の事例

葬儀に関する相談のほとんどが「料金」に関する事柄です。
中でも多いのが、

①見積りや費用明細を発行して貰えなかった(口頭のみの説明)
②後から追加で費用を請求された(オプション商法)
③会員価格と称し高額な「入会費」を求められた

の3つです。

①は、葬儀費用を口頭のみで説明されたため、費用の内訳が不明確というトラブルです。同様のケースですと、見積りを求めても拒否されてしまう、料金表を見せて貰えないといった事例も報告されています。

②は、はじめに説明された金額と請求された金額に大きな差があるケースです。葬儀社側の言い分としては「追加でサービスを求められた」ということですが、ユーザー側には全く身に覚えがないというケースも多く、度々問題視されています。

③は「会員の場合は50%オフになる」などと謳い、高額な入会費を請求する手口です。条件を付けることでお得に感じさせ、最終的には通常価格よりも高い支払となってしまいます。

高齢者が標的に

高齢者は葬儀費用をだまし取られやすい

前述した①~③いずれも、高齢者の方が多く被害に遭っています。
葬儀は何度も行いませんので、相場が分からずついつい契約してしまうケースが多いようです。また、悪徳業者は相手を見た上で強引に契約を結んだり、請求内容を変えたりしますので“明るみになりにくい”という点も発覚が遅れる原因と考えられています。

さらに“はじめに高額な価格を提示し、最終的には下げる”という「上げ底商法」は詐欺と気付きづらく、寧ろ感謝までする方もいらっしゃるほど巧妙化しているのが現実です。

対策方法

悪徳葬儀社には、以下の対策が有効です。
被害に遭わない為にも、必ず講じましょう。

対策①~相場を知る
葬儀費用相場を押さえておく

適正価格が分からない”というのは、葬儀ならではの特徴ではないでしょうか。
野菜・お肉・魚・その他日用品等の身近なものであれば大体の目安が分かりますが、一生に数度しかない葬儀に於いては中々イメージが湧かないかと思います。
インターネットで「その時の相場」を適宜確認するようにしましょう。

対策②~相見積を取る
葬儀費用は相見積がおすすめ

葬儀プランが多様化したことにより、各葬儀社ではそれぞれ得意な分野が確立されています。
例えば、一般葬でしたらA社が安い、家族葬ならB社の方がお得、C社はオーダープランに長けている、といった形です。大まかなプランをしっかりと定め、葬儀社を3~5社程度まで絞り込み、必ず見積りを取るようにしてください。もちろん、各社を比較することも大切です。

対策③~費用明細を確認する
費用明細で内訳をチェック

「身に覚えのないサービスやオプションによる高額請求」の防止法として、事前に費用明細を取得しておくのが望ましいです。
見積りの場合ですと、内訳は“一式”等でひとまとめにされてしまっていることが多いため、費用がより明確になります。また、内訳が分かっていれば契約していないオプション分の費用を請求されることもありません。

リテラシーを身に付けましょう

「リテラシー」とは“与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する能力”のことをいいます。地元の葬儀社に依頼するのが当たり前であった葬儀ですが、インターネットが普及したことで他社との比較や多彩なプランを選べる時代となりました。
「葬儀社の言い値」であった葬儀費用ですが、自身でも調査・比較してから最終決定をすることが、今現在できる最も強い自衛ではないかと考えます。
騙されない、損をしないために、まずは葬儀に対するリテラシーをしっかりと身に付けましょう。